- F-MODEに関することスタッフの気づきパリ
- 2013.02
空間デザイン|新規プロジェクト|パリ視察 -サヴォア邸編 –
こんにちは、吉川です。
パリ視察記、今回はル・コルビュジェ設計のサヴォア邸をリポートいたします。
近代建築の三大巨匠のうちの一人、コルビュジェの代表的な作品として
しばしば取り上げられるのがこのサヴォア邸。
資産家であったサヴォア夫妻が週末を過ごす別荘として計画されたものです。
コルビュジェについては私自身、美大時代の講義で彼の名を何度も耳にし、
住宅建築の参考作品としてこのサヴォア邸が頻出したものでした。
そんな、設計を学ぶものにとっては憧れ的存在である作品にお目に掛かれるともあって、
このサヴォア邸訪問は私にとって一大イベント!
ということで、テンションが高めな私たちの様子も一緒に、道のりからご紹介していきますね。
サヴォア邸のある「Poissy(ポワシー)」駅へは、
パリ中心部から近郊鉄道RERのA5線にのって向かいます。
パリ中心部から近郊鉄道RERのA5線にのって向かいます。
電車に揺られること約一時間程で、ポワッシー駅に到着。
▼Poissy駅
駅を出て右手方向に徒歩で向かっていきます。
※行き方を詳しく解説しているサイトもあります。
http://yisris-memo.blogspot.jp/2005/07/villa-savoye.html?m=1
一番の目印となりそうなのは、上記のサイトでも登場しますが、
刑務所??のようなこのなが~い塀。(実際に刑務所でした)
▼目印の塀
そして駅から20、30分も経てばサヴォア邸のエントランスに到着します。
敷地が広い為、建物が現れず分り辛いですが、この白い金網とこの看板が目印です。
▼敷地の入口にある金網
金網をくぐり抜けた先の小道を歩いていくと、ようやく雪原に出現!
建物が現れるなりテンションMAXの私達は
屋内に入る前からいろんなポーズで写真を撮りまくりました。笑
屋内に入る前からいろんなポーズで写真を撮りまくりました。笑
▼フルメンバーでポーズ!
裏側にまわると、こちらはピロティとエントランス。
車廻しの動線を優先に考えて、
メインエントランスは正面ではなく裏側に配置されているようです。
このアングルから、ル・コルビュジェの提唱する「近代建築の五原則」
1.水平連続窓
2.ピロティ(構造体だけを残した外部空間)
3.屋上庭園
4.自由な平面
5.自由な立面
この全てが確認できます。
そして遂に屋内へ!
チケット売り場兼ショップとなっている1階エントランスを通り抜け、
まずはそのまま住宅機能の中心となる2階へ。
▼リビングスペース
▼リビングの反対側にはダイニングスペースが
天井まで伸びる大開口と、写真に納まらないほどの贅沢な空間の広さに圧倒されました。
連続窓によって更に開放感は増しますが、どの窓からも緑が見えて
外からの視線が気になるということはあまりなさそうです。▼部屋の奥にはコルビュジェがデザインしたLCシリーズの家具も
外からの視線が気になるということはあまりなさそうです。▼部屋の奥にはコルビュジェがデザインしたLCシリーズの家具も
こちらのサヴォワ夫妻の寝室はなんとシャワーブース付き。
▼寝室奥から入口を見る
写真中央のクローゼットが浴槽と入口を間仕切っています。
▼浴槽の向こうにはタイルの安楽椅子。
写真手前にある洗面とトイレのスペースには天窓から光が降り注いでいて、
そして、部屋に隣接する婦人の居間へ進むと、屋上庭園に出ることが出来ます。
写真の右手には3階の屋上へと進むスロープが。
▼3階から2階の屋上庭園を見おろす
この二層を繋ぐスロープや、所々に張り出したオブジェクトによって
「内側と外側との境界線を消す」というコルビュジェのコンセプトを体現しています。
こうして、各部屋を廻っている中で注目していたのが取っ手やつまみなどの金物類。
▼ドアのハンドル
▼スイッチのつまみ
大人が掴むには小さすぎるんじゃないかと思う程ミニサイズなのですが、
そのコロンとしたデザインに魅かれました。
この様に、見どころは非常に多いサヴォア邸ですが、
こうして一般公開されるまでには過酷な運命を辿って来た様です。
完成間も無くひどい雨漏りに見舞われ、夫妻が実際使用した期間は、たったの9年。
その後は、ドイツ軍の宿舎に使われたり、連合軍に占領されたり・・・
隣地に建設された高校に敷地の1部を奪われてしまったりと不運が続いたよう。
しかし、1965年に歴史的建造物に指定された折、荒れ果てていたサヴォワ邸が、
現在の様に修復されたそうです。(1階の資料室にはその歴史が展示されています。)
現在の様に修復されたそうです。(1階の資料室にはその歴史が展示されています。)
最後に、展示室のノートにボスのメッセージを残してサヴォア邸を後にしました。
入場してから2時間程、終始興奮しっぱなしでしたが、
曲線の白い壁と自然光にあふれる空間で、ゆったりとした空気感がありました。郊外ですが、わざわざ出かけてみる価値は十分にあると思います。
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吉川