• スタッフの気づき
  • 2017.05

旅館デザイン | 暖簾の制作現場

こんにちは、吉川です。
前回のブログで昇華転写の作業場をご紹介させて頂きましたが
それに続き今回は暖簾の制作現場をリポートしてまいりたいと思います!

因みに、暖簾の巾数によって縁起の良し悪しがあるのをご存知ですか?

巾数とは暖簾に入れられた切り込みの数でして、一巾・二巾と数えるそうです。
縁起が良いとされているのは『三』や『五』の奇数の巾数。
奇数は『(縁が)別れない』『余りが出る(=余裕があり繁盛している)』と言われています。
また偶数でも『八』は末広がりの形をしているので
『すそ野が広く、発展する』と言われていて、新しいことを始める際には良いとされています。

逆に縁起が悪いとされているのは『四』と『九』。

『四』は『死』と同音であること。『九』は『苦』と同音であったり『窮する』を
連想させるとしてよくないと言われています。

うちのボスはこういう数を常に私たちに意識しなさいと言っております。

「無知は罪悪」
お客様があとからこの事を知ったら気分悪くなるでしょう。が口癖でもあります。
その他にも床の間の決まりや、先人の方たちの色々な教えをF-MODEでは大切にしながら
今にアレンジさせていただいております。

本題の暖簾の制作現場のお話になります。

暖簾の場合、風合いを出すのに麻や木綿等の天然素材を使用する為
色を入れる方法は昇華転写とはうって変わって染料を使って染め上げていきます。

まずは暖簾の版づくりから。

こちらは蝋を使って防染をしてもらっているところです。

オレンジ色の部分は蝋がのってるので染料が生地へ浸透するのを防ぎます。
つまり、蝋がのっていない白い部分のみ色が入るということですね^^

実際染料をのせてもらっているところがこちらです。

版の上に染料を置き、スキージと呼ばれる大きなヘラで
少しずつ版の上を滑らせて色をのせていきます。
版を上げるとこんな感じです!

ムラなく、均一にヘラを滑らせていましたが、
簡単そうに見えてもかなりの集中力と安定感が必要そうです。
若い職人さんが多いですが、皆さんかなり修行を積まれているとのこと。
日本のモノづくりは熱いです。

染めのあとは更に生地を蒸して染料を定着させ、余分な染料を落とす為水洗いし、

色落ちを防ぐ色止め薬に漬け、更に裁断と縫製と、長い工程が待ち受けています。

既に染が完了している暖簾もいくつか見させてもらいました。

木綿の表情がしっかりと浮き出ていて、
手仕事を感じる少し擦れた感じが味わい深さがあって良いですよね
大満足の仕上がりです!

ARCHIVE